そして、思ったのはこいつ、
俺を犯す気はないんじゃないかと。

「石浜先輩、
バスケ部の練習はいいんですか?」

主将がこんなところで
油売ってていいんだろうか?

俺の言葉に焦りを見せた(ニヤリ)

もうすぐ、冬の大会があったはずだ。

バカな女のバカなことに
付き合ってる場合じゃないだろう。

「今日、部員さん達に
嘘を吐いて此処に来たんですよね?」

顔を歪めた。

図星だな。

「このことを
部員さん達に
バラされたくなければ
俺達に協力して下さい。

それとも、
本当に俺を犯します?」

その瞬間、犯罪者になり
バスケ部は出場停止になるだろう。

証拠?

そんなものは
それこそどうにでもなる。

「高校最後の大会に
出られなくなりますよ?」

主将が問題を起こせば
バスケ部は当然試合に出られない。

欲に負けて出場停止になるか
俺達を逃がす手助けをして
試合に出場するかは
本人次第だ。

「わかった、
お前達を逃がす手助けをしよう」

懸命な判断だ。

「名前を聞いていなかったな」

俺が一方的に知っているだけだからな。

「春日井貴也ですよ石浜先輩」

ついでに慎の名前も告げといた。

別室を二人で出た。

「貴也❢❢ 大丈夫?」

何もされていないからな。

そうそう、別室を出る前
雪村に電話しておいた。

「大丈夫だ。

慎は何もされていないか?」

見た目は大丈夫そうだ。

「うん、大丈夫」

よかった……

慎に何かあったら
俺が雪村に殺(や)られちまう(笑)

「覚、何で!?」

喚いたのは当然
俺をひっぱたいた張本人。

計画では
石浜先輩に犯(や)られた俺に
二人の連絡先を
吐かせるつもりだったはず。

「悪いな、大切なことを
思い出させてくれた春日井の
味方になることにした。
幸樹、笹山を離せ」

慎を捕まえている
男をそう呼んだ。

“幸樹”と呼ばれた男は
大人しく慎を離した。

石浜先輩は俺達を
連れて出口に向かった。

¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢

外に出ると雪村と亮が居た。

「慎❢❢」

雪村は慎を認めると
窒息しそうな
勢いで抱き締めた(苦笑)

こんな雪村は初めて見たな。

「貴也は大丈夫?」

亮は優しく抱き締めてくれた。

「大丈夫だ」

石浜先輩に雪村が
乗って行くかと訊いたが
首を横に振った。

「春日井、笹山
色々と悪かっな」

別に石浜先輩が謝ることはない。

「友人の頼みを
断れなかっただけでしょうから
先輩が謝る必要はありません」

主犯はあの女だからな。

「先生達もすみませんでした」

教師二人に頭を下げて
倉庫の方へと戻って行った。

¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢

運転は雪村がしている。

俺達をマンションへ送り、
慎を連れて帰った。

「貴也、本当に何もされてない?」

心配性だなぁな。

「なんもされてないさ。

確かめてみるか?」

少し挑発してみた。

「隅々まで確かめてあげるよ」

亮が口角だけ上げて笑った。

寝室に連れて行かれ
全て剥ぎ取られる。

「ぁっ❢❢」

全く……

「亮の気が済むまで抱けよ」

明日が学校だとかどうでもよかった。

二ヶ月振りに感じる亮の温もり。

**翌日**

腰が痛い……

完璧亮のせいだ。

本当にあの性欲と体力は
何処からくるんだか(苦笑)

慎はどうしただろう?

雪村が無茶してなきゃいいが(笑)

ああ、でも
あのまま帰したかもな。

意外にも亮より真面目だしな。

「貴也」

教室に着くと慎が俺を呼んだ。

雪村に言われたから
抱き付いて来なくなったな(笑)

俺にまで嫉妬とか笑えるよな。

「はよ」

¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢。゜¢

昼休み、俺達は教官室に来ていた。

すっかり居座っている。

数時間前のことなんて
忘れたように教師モードだ。

期末テストも終わり
明日から冬休みだ。

やっと、四人で
ゆっくりできると
思っていたのに
まさか、あんなことに
なるなんて知る由もなかった……