月日が経ち、
私たちは三年生になった。

下級生はともかく、
同学年の人たちは
何時もと変わらず
《変人》《根暗》と呼ぶ。

更に月日が経ち、
今日は卒業式。

何で、何で来たの?

連珠の能力(ちから)が
気持ち悪いとか言って
一人にしてたくせに。

そう、卒業式の
保護者席に居たのは
前に一度だけ
写真を見せてもらった
連珠の両親が居た。

私は今すぐ、
席を立って
怒鳴りたい気持ちだった。

全てのプログラムを終え、
一旦教室に戻り、
担任が最後の話しをして
解散となった。

私たちは当然、
何時もの様に
二人で門を出た所に
連珠の両親が居た。

「久しぶりね」

母親が話し掛けるけど
連珠は応えない。

繋いでいる手から
連珠が震えてるのが
伝わって来る。

『今更、
何しに来たんですか?』

連珠が言う前に
限界だった私が
とうとう怒鳴った。

今日は卒業式、
生徒と親が何組も
通り過ぎて行く。

「部外者は
黙ってて頂戴」

部外者? 

ふざけるな。

『残念ながら私は
部外者じゃないんですよ』

一瞬目が合った、
彼女の感情は未だ
連珠に対する
嫌悪感に満ちていた。

『もう一度聴きます
貴女たちは何しに
此処に来たんですか?』

連珠に対する
嫌悪感が
消えたわけでもないのに。

「親が息子の
卒業式に来たら
いけないなんてこと
ないんじゃない?」

"普通の親"ならそうだろ。

だけど、この人たちは
連珠を嫌悪している。

『貴女たちは
嫌悪感を抱いてる
息子の卒業式に
わざわざ来たんですか』

彼女の目を
真っ直ぐ見て質問した。

読み取れる感情に
吐き気さえ覚える。

「さっきから
何なんだね君は」

此処に来て、
父親が口を開いた。

『連珠の親友で
同じ能力(ちから)を
持つ者ですよ』

この人たちが
気持ち悪いと言った
能力(ちから)を
持っている。

ニヤリと笑って
言うと驚いた顔した。

「同じ能力(ちから)
というのは
目を見れば感情が
読み取れるってやつか?」

まさか、
息子以外に居るとは
思わなかったのだろう。

『そうですよ』

隣に居る連珠は
未だ震えている。

「しかし君は
妻の目を
見ているじゃないか」

そう、私は彼女の
目を見て睨んでいる。