第三話☆ある日の旅行の話
私達は今、
旅行に来て居た。
自然が好きな私達は
二泊三日とか日帰りで
よく旅行に来る。
その日も、
一泊二日という、
短い旅行だった。
電車を乗り継ぎ
森林を歩く。
その日、不思議な
出会いがあった。
予め予約していた
旅館に着いた時だった、
泰地も不思議に思ったらしい。
一人の宿泊客だと
思うのだが、
彼は可笑しかった。
見た感じも
何処か危なげで、
フラフラしていた。
そして、私達には
"力"がある。
彼の"魂"は
今にも消えてしまいそうで、
泰地も彼の"声"を
聴いてヤバイと
思ったみたいだった。
私達は、荷物を、
預けて彼の後を追った。
どうやら私達に
気づいてないらしい。
少し様子を見ようと
物陰に隠れて
二人で彼を見ていた。
「あの人、大丈夫かしら?」
小声で泰地に話しかける。
「どぉだろうな」
じぃっと様子を窺がっていると、
彼はスーツのポケットから
折りたたみナイフを取り出した。
本日二回目の
ヤバイと思った瞬間である。
私より先に泰地が
走って彼の手から
折りたたみナイフを
奪い取った。
取り合えず、
彼を旅館の中に
連れ戻し、
ロビーで名前を告げ、
さっき預けた荷物と
一緒に部屋へ
案内してもらった。
着いた部屋は
【桔梗の間】というらしい。
荷物を部屋の端に置き、
仲居さんが扉を閉めたところで、泰地が口を開いた。
「先ずは自己紹介から
しましょう」
無理矢理連れて来た
彼の名前は知らないし、
お互いを知るには
いいと思った。
「そぉだね」
私も賛成する。
此処で初めて
彼が口を開いた。
「僕の名前は横原靖と言います」
横原さんね。
「私が久野木文音で、
隣の彼が宗方泰地です」
二人分の自己紹介をした。
そして、この時、
まさか、二人だけの秘密だった
"力"の話を誰かにする日が
来るなんて思いもしなかった。
「お二人は、何故
あのタイミングで
出てきたんですか?」
貴方の様子が
可笑しかったから
後をつけてたとは
流石に言えないし……
しかし、
そんな私の思いを
泰地があっさりと打ち砕いた。
「実は、失礼ながら
横原さんの後をつけて
物陰から見ていたんです」
ちょっと、泰地!!
横原さんが
何か言う前に
泰地が続けた……
「貴方の様子が
変だったので気になったんです」
「僕、変でした?」
自覚がなかったらしい。
「えぇ、フラフラしてましたし、
これは信じてもらえるか
分かりませんが、
私達には特殊な
"力"があるんです」
"力"と口にした時、
泰地が少し怪訝そうな顔をした。
目で、大丈夫
と言って話を続ける。
「力?」
これが普通の人の反応だよね。
ため息をついた後、
泰地がしょうがないという
顔をして話し出した。
「俺達は、
特殊な力を持ってるんです」
私が魂の形を見れる事、
泰地が心の声を聴けること。
分かりやすく完結に話した。
「横原さんの魂は
今にも消えてしまいそうでした」
そぉ、彼の魂は
私が見てきた中でも
一際消えそうだった。
「そして、貴方は
何か大きな悩みを
お持ちですよね?」
続けて泰地が訊く。
此処まで言い当てられて
横原さんは話す気に
なってくれたみたいだ。
「実は、悩み事が
二つあるんです」
彼の話によると、
一つ目は、奥さんが
男を作って
出て行ってしまったこと。
二つ目は実の弟から
借金を作る度に
金をせがまれること。
これが横原さんの
悩みであり、魂が
消えかけていた原因だった。
「横原さん、
これも何かの縁ですし、
貴方の魂も少し
修復しましょう」
私の言葉に横原さんは
吃驚(びっくり)している。
「文、そんなこと出来るの?」
そういえば、泰地にも
言った事なかったっけ……?
「まぁね、
ただ、私の気を
直接その魂に
送り込むから
滅多にやらないの」
だけど、今回は
そぉも言ってられない。
「へぇ、凄いな」
横原さんに仰向けに
寝てもらい
彼の魂に私の気を送り込む。
かなり消えかけてた
魂だったから、
時間が掛かった。
「これで、大丈夫だと思う」
魂に輝きが
出てきたから少し活力も出たと
思うんだけど……
「横原さん、どぉですか?」
「少し、元気になったみたいだ」
それは良かった。
こぉして、彼をどぉにか
元気にして、夕飯が来るまで
三人で色んな話をした。
「二人は、結婚してないの?」
自己紹介の時に
苗字が違ったのが
気になったらしい。
「はい、結婚はしてないんです」
六年も一緒に居ると
籍を入れなくても
いいような気になるのだ。
それに、結婚式に
呼ぶ友人もいない。
馴れ初めを
訊かれても困るし……
そんな感じの
返答をすると、横原さんは
それは少し
寂しいねと言った。
「僕は、結果
彼女に出て行かれて
しまったけど、
結婚してよかったと
思ってるんだよ」
出て行ってしまった奥さんを
今も好きなのだろう。
結局、一泊二日の予定が
横原さんに出会ったことで
一日延びることになった。
まぁ、いいか……
帰る日、横原さんは
考え込むのを辞めたと言って
私達と別れた。
勿論、連絡先は交換して。
家に着き、一休みして、
二人で携帯を開いた。
見ているのはや行のページだ。
二人だけの秘密だったことを
知る人物が一人増えた。
横原さんは、私達の
"力"について
口外しないと約束してくれた。
きっと、これから
彼にいい事があるだろう。
そう願いながら、
携帯を閉じた。
こうして、不思議な
出会いもあり、
今回の私達の旅行は
無事終わった。
私達は今、
旅行に来て居た。
自然が好きな私達は
二泊三日とか日帰りで
よく旅行に来る。
その日も、
一泊二日という、
短い旅行だった。
電車を乗り継ぎ
森林を歩く。
その日、不思議な
出会いがあった。
予め予約していた
旅館に着いた時だった、
泰地も不思議に思ったらしい。
一人の宿泊客だと
思うのだが、
彼は可笑しかった。
見た感じも
何処か危なげで、
フラフラしていた。
そして、私達には
"力"がある。
彼の"魂"は
今にも消えてしまいそうで、
泰地も彼の"声"を
聴いてヤバイと
思ったみたいだった。
私達は、荷物を、
預けて彼の後を追った。
どうやら私達に
気づいてないらしい。
少し様子を見ようと
物陰に隠れて
二人で彼を見ていた。
「あの人、大丈夫かしら?」
小声で泰地に話しかける。
「どぉだろうな」
じぃっと様子を窺がっていると、
彼はスーツのポケットから
折りたたみナイフを取り出した。
本日二回目の
ヤバイと思った瞬間である。
私より先に泰地が
走って彼の手から
折りたたみナイフを
奪い取った。
取り合えず、
彼を旅館の中に
連れ戻し、
ロビーで名前を告げ、
さっき預けた荷物と
一緒に部屋へ
案内してもらった。
着いた部屋は
【桔梗の間】というらしい。
荷物を部屋の端に置き、
仲居さんが扉を閉めたところで、泰地が口を開いた。
「先ずは自己紹介から
しましょう」
無理矢理連れて来た
彼の名前は知らないし、
お互いを知るには
いいと思った。
「そぉだね」
私も賛成する。
此処で初めて
彼が口を開いた。
「僕の名前は横原靖と言います」
横原さんね。
「私が久野木文音で、
隣の彼が宗方泰地です」
二人分の自己紹介をした。
そして、この時、
まさか、二人だけの秘密だった
"力"の話を誰かにする日が
来るなんて思いもしなかった。
「お二人は、何故
あのタイミングで
出てきたんですか?」
貴方の様子が
可笑しかったから
後をつけてたとは
流石に言えないし……
しかし、
そんな私の思いを
泰地があっさりと打ち砕いた。
「実は、失礼ながら
横原さんの後をつけて
物陰から見ていたんです」
ちょっと、泰地!!
横原さんが
何か言う前に
泰地が続けた……
「貴方の様子が
変だったので気になったんです」
「僕、変でした?」
自覚がなかったらしい。
「えぇ、フラフラしてましたし、
これは信じてもらえるか
分かりませんが、
私達には特殊な
"力"があるんです」
"力"と口にした時、
泰地が少し怪訝そうな顔をした。
目で、大丈夫
と言って話を続ける。
「力?」
これが普通の人の反応だよね。
ため息をついた後、
泰地がしょうがないという
顔をして話し出した。
「俺達は、
特殊な力を持ってるんです」
私が魂の形を見れる事、
泰地が心の声を聴けること。
分かりやすく完結に話した。
「横原さんの魂は
今にも消えてしまいそうでした」
そぉ、彼の魂は
私が見てきた中でも
一際消えそうだった。
「そして、貴方は
何か大きな悩みを
お持ちですよね?」
続けて泰地が訊く。
此処まで言い当てられて
横原さんは話す気に
なってくれたみたいだ。
「実は、悩み事が
二つあるんです」
彼の話によると、
一つ目は、奥さんが
男を作って
出て行ってしまったこと。
二つ目は実の弟から
借金を作る度に
金をせがまれること。
これが横原さんの
悩みであり、魂が
消えかけていた原因だった。
「横原さん、
これも何かの縁ですし、
貴方の魂も少し
修復しましょう」
私の言葉に横原さんは
吃驚(びっくり)している。
「文、そんなこと出来るの?」
そういえば、泰地にも
言った事なかったっけ……?
「まぁね、
ただ、私の気を
直接その魂に
送り込むから
滅多にやらないの」
だけど、今回は
そぉも言ってられない。
「へぇ、凄いな」
横原さんに仰向けに
寝てもらい
彼の魂に私の気を送り込む。
かなり消えかけてた
魂だったから、
時間が掛かった。
「これで、大丈夫だと思う」
魂に輝きが
出てきたから少し活力も出たと
思うんだけど……
「横原さん、どぉですか?」
「少し、元気になったみたいだ」
それは良かった。
こぉして、彼をどぉにか
元気にして、夕飯が来るまで
三人で色んな話をした。
「二人は、結婚してないの?」
自己紹介の時に
苗字が違ったのが
気になったらしい。
「はい、結婚はしてないんです」
六年も一緒に居ると
籍を入れなくても
いいような気になるのだ。
それに、結婚式に
呼ぶ友人もいない。
馴れ初めを
訊かれても困るし……
そんな感じの
返答をすると、横原さんは
それは少し
寂しいねと言った。
「僕は、結果
彼女に出て行かれて
しまったけど、
結婚してよかったと
思ってるんだよ」
出て行ってしまった奥さんを
今も好きなのだろう。
結局、一泊二日の予定が
横原さんに出会ったことで
一日延びることになった。
まぁ、いいか……
帰る日、横原さんは
考え込むのを辞めたと言って
私達と別れた。
勿論、連絡先は交換して。
家に着き、一休みして、
二人で携帯を開いた。
見ているのはや行のページだ。
二人だけの秘密だったことを
知る人物が一人増えた。
横原さんは、私達の
"力"について
口外しないと約束してくれた。
きっと、これから
彼にいい事があるだろう。
そう願いながら、
携帯を閉じた。
こうして、不思議な
出会いもあり、
今回の私達の旅行は
無事終わった。