第二話☆今の私達の話

あの出会いから
今年で丸五年経った。

今はお互いの
"力"のことも知っている。

私達は、一歩外に出れば
"特殊"だ。

それでも、
お互いが居ればそれで良い。

例えば、この"力"が
誰かにバレて拒絶されても
私達は生きていける。

付き合いだして、
お互いの力が
分かった時、
二人で笑った。

特殊な力を
持って生まれた
二人が偶然出会い
付き合いだしたのだから。

「ねぇ、泰地
私達って、"力"に
導かれたと思うんだ」

「どぉしたんだ?いきなり」

五年も経って、
いきなり昔の話を
しだしたから泰地は
不思議そうな顔をした。

「何となくね……」

"力"がなかったら、
私達は気づかずに

"他人"でしかなかったと思う。

「まぁ、俺達は、特殊だからな」

世間では
認めてもらえない、
誰も分かってくれない
特殊な能力なのだ。

「お互い惹かれあったのかも」

二人分の紅茶を
入れてくれたらしい。

ソファーに座る私に
カップを渡して、
隣に座った。

「私もそぉ思う」

隣に座った
泰地の手を握った。

これから先も
私達は離れられない。

この力がある限り、
"本当の"付き合いは
出来ない。

だってもし、
親しくなった人の
魂が消えかけてたり、
心の声が口から
言ってることと
違っていたら、立ち直れない。

だから、必要最低限の
表向きの付き合いしか出来い。

それは、今も昔も
変わらずそうしてきた。

お互いの両親も知らない力。

二人だけの秘密で
それは一生そのままである。

「泰地、ずっと傍に居てね」

寄りかかる形で

泰地の肩に頭を乗せた。

「当たり前だろう」

肩に乗せた頭を
優しく撫でてくれた。

私はこの時間が
ずっと続けばいいと
思いながら目を閉じた。