第一話☆出会った時の話

私久野木文音は

家族さえも知らない

能力がある。

それは、
人の魂が視えること。

これは小さい頃から
ある力で誰にも
言っちゃいけないと思った

だだし、自分のは視えない。

そんなある日、

私は不思議な形をした

魂を持つ人とすれ違った

それが後に恋人になる

宗方泰地との

最初の出会いだった。

彼と初めて

すれ違った日から一週間、

またすれ違った。

最初は偶然だと思ってた。

だけど、

偶然も重なれば必然になる

最初に会った日から

一ヶ月後、六回目に

すれ違った際に

思い切って話しかけた。

「あの……」

決して大きな

声ではなかったと思う

しかし、
彼には届いたらしい

「ボクですか?」

今から考えれば
聞き返す
必要なかったと思う。

だって、彼には
私の心の声が
聞こえていたのだから。

自分が声を掛けられたと
分かってたはずだ。

何時までも
そこに居る訳にもいかず
近くのファミレスに入った。

「突然すみません」

この時は
知らなかったとはいえ、
気付いてたんだよね?

「まさか貴女から
声を掛けてくるなんて
思いもしませんでしたけど」

この時は、お互いに
"力"の話は
話題に出さなかった。

三十分程話して
連絡先を交換して帰った。

だけど、あれは、
お互いの力が
導いたものだと
何となく感じていた。