「それは兄さん達が教育するだけの問題では」
「私達正騎士が何かを言ったところで、その時だけ従うだけで変わることはほとんど無い。 貴族の面子もあるため自ら退団を選ばせた方がいい」
上官たる騎士の話を聞き流すようでは先が思いやられるのだが、そんな状態の見習い騎士をそのままにしておくなど何か事情でもあるのだろうか。少なくとも王族直属の騎士になれなくとも、領地を警護する騎士になれば高待遇だとはおもうのだが。
「外部の冒険者を相手として模擬線を行い、騎士団長達が見習い達を評価する。その相手としてグレン、お前にも参加して欲しい」
騎士団員の評価として外部の冒険者を使う。何か隠した意図もあるのだろうが、今の立場上その情報を得る手段が無い上に兄は決して話さないだろう。分からないのならこちらの利を得るよう話すしかない。ある程度は考慮してくれるだろうが、今は兄としての立場より騎士団の副長として判断するはず。
「参加する上でこちらが得られる利権は?」
「報酬金として120万、後は何を望む」
「自由の立場、権力で縛られないように望ましい後援者を探して下さい」
貴族との関わりが無い状態で良い後援者を探すのは時間がかかるだろうが、兄の見る目と立場からなら信頼も出来る。やはり手間がかかる条件ゆえに、一瞬兄の眉が動いたが表情をすぐに取り繕い感情が読めなくなる。これが貴族間でのやり取りになれた立場なのだろうが、やはり弟に対しても取り繕う必要があることに悲しさがある。
「良いだろう。だがそれなりの働きはしてもらうが仕事の話は以上だ。あとは、そうだな。久しぶりに訓練の相手をしてあげよう。 準備を頼む」
白鳳騎士団の副長という立場にある兄アークスが直接訓練の相手をすることはまず無い。冒険者評価に当てはめればSプラス、剣技に置いてはSSマイナスに届くのではないかと言われ、王国内に置いては現王と次期王候補の二人を除いて上回る者は居ない。
奥方でありリーゼハルト家の当主であるロータス様は魔法に関してのみならすでにSSクラス、つまり練習とはいえ相手をしてもらえる者は非常に名誉なことと言う事だ。
「承りました。 見習い騎士達は下がらせ、剣は訓練用のロングソードとツーハンデットソードのご用意でお間違いありませんか?」
優秀な文官は情報収集にも長けると聞くが、どこで情報を仕入れたのか私の得意武器を知っているようだ。兄が軽く手を振ると文官はすぐに意図を理解したのか足早に退室、先に移動して話を通しておくためだろう。
「それでは向うとしよう」
文官が数分ほどで戻り案内された訓練場はかなり広く、騎士団同士の集団戦から、魔法攻撃練習も想定しているのか厳重な結界まで張られている。これだけの用意が出来るからこそ精兵と言われる騎士団を維持できるのだろう。すでに人払いがされていたのか見習い騎士や魔導士は見当たらず、数人の騎士が隅の方で剣を振るなど基礎鍛錬に従事しているのが見えるだけだ。
「私達正騎士が何かを言ったところで、その時だけ従うだけで変わることはほとんど無い。 貴族の面子もあるため自ら退団を選ばせた方がいい」
上官たる騎士の話を聞き流すようでは先が思いやられるのだが、そんな状態の見習い騎士をそのままにしておくなど何か事情でもあるのだろうか。少なくとも王族直属の騎士になれなくとも、領地を警護する騎士になれば高待遇だとはおもうのだが。
「外部の冒険者を相手として模擬線を行い、騎士団長達が見習い達を評価する。その相手としてグレン、お前にも参加して欲しい」
騎士団員の評価として外部の冒険者を使う。何か隠した意図もあるのだろうが、今の立場上その情報を得る手段が無い上に兄は決して話さないだろう。分からないのならこちらの利を得るよう話すしかない。ある程度は考慮してくれるだろうが、今は兄としての立場より騎士団の副長として判断するはず。
「参加する上でこちらが得られる利権は?」
「報酬金として120万、後は何を望む」
「自由の立場、権力で縛られないように望ましい後援者を探して下さい」
貴族との関わりが無い状態で良い後援者を探すのは時間がかかるだろうが、兄の見る目と立場からなら信頼も出来る。やはり手間がかかる条件ゆえに、一瞬兄の眉が動いたが表情をすぐに取り繕い感情が読めなくなる。これが貴族間でのやり取りになれた立場なのだろうが、やはり弟に対しても取り繕う必要があることに悲しさがある。
「良いだろう。だがそれなりの働きはしてもらうが仕事の話は以上だ。あとは、そうだな。久しぶりに訓練の相手をしてあげよう。 準備を頼む」
白鳳騎士団の副長という立場にある兄アークスが直接訓練の相手をすることはまず無い。冒険者評価に当てはめればSプラス、剣技に置いてはSSマイナスに届くのではないかと言われ、王国内に置いては現王と次期王候補の二人を除いて上回る者は居ない。
奥方でありリーゼハルト家の当主であるロータス様は魔法に関してのみならすでにSSクラス、つまり練習とはいえ相手をしてもらえる者は非常に名誉なことと言う事だ。
「承りました。 見習い騎士達は下がらせ、剣は訓練用のロングソードとツーハンデットソードのご用意でお間違いありませんか?」
優秀な文官は情報収集にも長けると聞くが、どこで情報を仕入れたのか私の得意武器を知っているようだ。兄が軽く手を振ると文官はすぐに意図を理解したのか足早に退室、先に移動して話を通しておくためだろう。
「それでは向うとしよう」
文官が数分ほどで戻り案内された訓練場はかなり広く、騎士団同士の集団戦から、魔法攻撃練習も想定しているのか厳重な結界まで張られている。これだけの用意が出来るからこそ精兵と言われる騎士団を維持できるのだろう。すでに人払いがされていたのか見習い騎士や魔導士は見当たらず、数人の騎士が隅の方で剣を振るなど基礎鍛錬に従事しているのが見えるだけだ。