元々ナルタは村の出張ギルド所で簡単な依頼を少しずつ受けていたため、D級の資格を持っており、分配は増えたが一度に討伐可能な数も大分増やすことが出来た。さらに報酬の分配方法を少し変えることで予算枠を設け、ダンジョンや旅に出る時の予算は優先して使用する事としたこうでもしないと魔導蒸気列車などに乗るとき、私の貯蓄のみが急激に減ってしまう。これからは長距離移動や泊まる為にかかる費用を予算から捻出する事で少しは楽になるだろう。
今回の分配で全損したブレーカーガントレットをやっと新造することが出来る。前回の戦い、相手が戦いの素人であった為大した怪我もなく倒すことは出来たが次もそうだとは限らず、転移者・転生者を倒すには今の私ではリスクを負っても黒の力に頼らざる得ない。またそういった存在から武具を与えられたモノは素人でもAクラスやBクラス冒険者並みの強さを持つ。こちらも私の記憶から強力な武具を作り出せばいいのかもしれないが、それでは世界を乱す転生者達となんら変わらない。
この世界の技術・魔法によって作れるものでも、あの神器ともいえるフルプレートアーマーにもブレーカーガントレットが通じたように、この世界の現象下にある物体なら壊す事も倒すことも可能と言う事だ。機構士と話し合い、ブレーカーガントレットは一撃に特化させ大型化と重量増加、中級爆発魔法のエクスプロージョン対応、必要な強度と構造を話し合ったが結果として品質の良い鋼と魔石を使用する事で製作することになっている。問題はミスリル製の杭、ミスリルと金とほぼ等価値なだけあり320万と異常に高いことだ。まだ100万ほど足りず、数回ダンジョンに潜るしかないだろう。もしくは偶然にでもミスリルゴーレムなんていう一攫千金ともいえる存在に出会うかだが。
あと念のため致死毒も幾らか用意したいところだが、王都周辺では管理販売され入手するのは困難、ダンジョン等に自生する植物から調合するしかない。錬金術師の調合の方法など知らないが、人を雇うか担当教官から講義を習うしかないだろう。習ったところで出来るかはわからないため、最悪それなりの組織から買うか依頼する必要になりそうだ。
「余計な事考えてないで早く帰ろう」
「不要な心配などせず寮に戻りましょう。ちゃんとした夕食は久しぶりなのですから」
やはりエルとリーアナは心が読めている。人間とは思考が違う故に躊躇もなければ遠慮も無いが、おかげで敵意や隠し事など二人の前では無意味だ。
「獣肉もいいが、たまには魔獣肉で一杯やりたいな」
ラクシャはある程度は溜めているようだが、リヒトは分配のほとんどを酒と武具に使ってしまっている。鬼人族は酒で散財するというがリヒトもその例から離れる事はないようだ。
「それじゃ、あたしらは食べ物を買って先に戻ってるよ。あんたはどうするんだ?」
「私は少し依頼を確認した後帰ります。分配金で移動可能な範囲にも良い依頼があるかもしれませんし」
マッドネス討伐の功績でCランクになるにはあと一つギルド公式依頼を受ければ昇格試験を受けれる事になっている。他にもブレーカーガントレッドの新造代でまともな剣も買えず、格安で売られていた鍛冶新人達が作ったブロードソードが一本があるだけという有様、できれば何かしら依頼を受けたいのだが、どれも遠方への護衛や探索など時間がかかるものばかりで短時間で終わりそうなものは見当たらない。結局何も依頼を受けることなく寮に戻った。
「グレンさん宛てに書簡が届いています」
自室に戻る前、寮の入り口で管理人から書簡を受け取る。誰からなのか疑問に思いながら部屋で留め印を確認し、急いで書簡を開き中を確認すると冷や汗が流れる。内容は公爵邸への召喚、三日後来るように書かれている。
「誰からだい?」
すでに幾らか酒を飲んでいたラクシャとリヒトはややほろ酔い上機嫌。酔いを醒ますような事は言いたくないのだが。
「エウローリア・レナード・ロストランテ・アエラキ・デュークウーマン・オーディン公爵邸 白鳳騎士団 副長からの召喚状、 ラクシャ達も一緒に来てく」
「そんな面倒な事断る」
酔いが醒めたのかラクシャは酒瓶を持って部屋に引っ込んでしまう。公爵邸に赴くとなると礼儀作法や服装まで気をつけなければならず堅苦しい事この上ない。一応貴族としての服一式は持ってきてはいるがそんなことどうでもよくなる。
------------------------
エウローリア・レナード・ロストランテ・アエラキ・デュークウーマン・オーディン
オーディン王国内において王位継承権を持つ公爵家。女性当主で燃えるような赤髪と金色の眼から 雷炎の女公 と呼ばれ、民の事を良く考え自らの直轄地に善政を引くため慕われている。
一方で槍術・戦術・魔法・馬術、全てに置いて初代王にもっとも近い存在といわれ、同じく王位継承権を持つもう一家の当主と同じく実力判定はドラゴンやベヒーモスさえ単独討伐が可能なSSクラス、魔物が多く存在する領地内を治める貴族達を従えていた。
------------------------
今回の分配で全損したブレーカーガントレットをやっと新造することが出来る。前回の戦い、相手が戦いの素人であった為大した怪我もなく倒すことは出来たが次もそうだとは限らず、転移者・転生者を倒すには今の私ではリスクを負っても黒の力に頼らざる得ない。またそういった存在から武具を与えられたモノは素人でもAクラスやBクラス冒険者並みの強さを持つ。こちらも私の記憶から強力な武具を作り出せばいいのかもしれないが、それでは世界を乱す転生者達となんら変わらない。
この世界の技術・魔法によって作れるものでも、あの神器ともいえるフルプレートアーマーにもブレーカーガントレットが通じたように、この世界の現象下にある物体なら壊す事も倒すことも可能と言う事だ。機構士と話し合い、ブレーカーガントレットは一撃に特化させ大型化と重量増加、中級爆発魔法のエクスプロージョン対応、必要な強度と構造を話し合ったが結果として品質の良い鋼と魔石を使用する事で製作することになっている。問題はミスリル製の杭、ミスリルと金とほぼ等価値なだけあり320万と異常に高いことだ。まだ100万ほど足りず、数回ダンジョンに潜るしかないだろう。もしくは偶然にでもミスリルゴーレムなんていう一攫千金ともいえる存在に出会うかだが。
あと念のため致死毒も幾らか用意したいところだが、王都周辺では管理販売され入手するのは困難、ダンジョン等に自生する植物から調合するしかない。錬金術師の調合の方法など知らないが、人を雇うか担当教官から講義を習うしかないだろう。習ったところで出来るかはわからないため、最悪それなりの組織から買うか依頼する必要になりそうだ。
「余計な事考えてないで早く帰ろう」
「不要な心配などせず寮に戻りましょう。ちゃんとした夕食は久しぶりなのですから」
やはりエルとリーアナは心が読めている。人間とは思考が違う故に躊躇もなければ遠慮も無いが、おかげで敵意や隠し事など二人の前では無意味だ。
「獣肉もいいが、たまには魔獣肉で一杯やりたいな」
ラクシャはある程度は溜めているようだが、リヒトは分配のほとんどを酒と武具に使ってしまっている。鬼人族は酒で散財するというがリヒトもその例から離れる事はないようだ。
「それじゃ、あたしらは食べ物を買って先に戻ってるよ。あんたはどうするんだ?」
「私は少し依頼を確認した後帰ります。分配金で移動可能な範囲にも良い依頼があるかもしれませんし」
マッドネス討伐の功績でCランクになるにはあと一つギルド公式依頼を受ければ昇格試験を受けれる事になっている。他にもブレーカーガントレッドの新造代でまともな剣も買えず、格安で売られていた鍛冶新人達が作ったブロードソードが一本があるだけという有様、できれば何かしら依頼を受けたいのだが、どれも遠方への護衛や探索など時間がかかるものばかりで短時間で終わりそうなものは見当たらない。結局何も依頼を受けることなく寮に戻った。
「グレンさん宛てに書簡が届いています」
自室に戻る前、寮の入り口で管理人から書簡を受け取る。誰からなのか疑問に思いながら部屋で留め印を確認し、急いで書簡を開き中を確認すると冷や汗が流れる。内容は公爵邸への召喚、三日後来るように書かれている。
「誰からだい?」
すでに幾らか酒を飲んでいたラクシャとリヒトはややほろ酔い上機嫌。酔いを醒ますような事は言いたくないのだが。
「エウローリア・レナード・ロストランテ・アエラキ・デュークウーマン・オーディン公爵邸 白鳳騎士団 副長からの召喚状、 ラクシャ達も一緒に来てく」
「そんな面倒な事断る」
酔いが醒めたのかラクシャは酒瓶を持って部屋に引っ込んでしまう。公爵邸に赴くとなると礼儀作法や服装まで気をつけなければならず堅苦しい事この上ない。一応貴族としての服一式は持ってきてはいるがそんなことどうでもよくなる。
------------------------
エウローリア・レナード・ロストランテ・アエラキ・デュークウーマン・オーディン
オーディン王国内において王位継承権を持つ公爵家。女性当主で燃えるような赤髪と金色の眼から 雷炎の女公 と呼ばれ、民の事を良く考え自らの直轄地に善政を引くため慕われている。
一方で槍術・戦術・魔法・馬術、全てに置いて初代王にもっとも近い存在といわれ、同じく王位継承権を持つもう一家の当主と同じく実力判定はドラゴンやベヒーモスさえ単独討伐が可能なSSクラス、魔物が多く存在する領地内を治める貴族達を従えていた。
------------------------