エリーはリヒトと共に街に出ていた。
いつもならぶらぶらと街を歩いたり泉に行ってリヒトを遊ばせたりしているが、今日のエリーには目的が一つあった。

それは、ダニエルの図書館へ行くこと。
そして、ウィリアムの本を手に入れることだ。
そんな強い想いを胸に、エリーは街の中をずいずい歩いていた。

「あ、エリーちゃん」

「こんにちは、ダニエルさん」

「こんにちは」

にこにこしているダニエルさん。
今の時間は図書館の利用者はあまりいないようだ。

「あの、実は、少しお願いしたいことがありまして」

「お願いしたいこと?」

ダニエルがかすかに首を傾げる。エリーはおずおずと言い出した。

「ウィリアムさんの本を、読みたいんです」

「あぁー」

その一言で全てを察したように、ダニエルは反応した。
そしておかしそうに笑った。

「まだ読んでいなかったんだね。ウィルに反対された?」

「反対というか……必要ないと言われました」

エリーの言葉にダニエルは再び笑う。

「ウィルらしいねぇ」

しかしダニエルは少し困ったように眉を下げた。

「でも、ごめんね。エリーちゃん」

「えっと、何がでしょう?」

「この図書館には置いてないんだよ。ウィルの本」

「そうなんですか?」

「そうなんだよ。どうしても知人や友人に本を読んで欲しくないみたいでね」

「そんなに嫌なんですか……」

少ししょげたように言い、あからさまに落ち込むエリーの姿にダニエルはふっと笑う。