駅に辿り着くと、エリーとウィリアムはアンナとダニエルと向き合った。

「じゃあ、私達はここまでね」

「どうもありがとうございました」

「いえいえ。楽しかった?」

「はい!」

アンナとダニエルはどこかへ行く用事があるらしく、ここでお別れだ。
笑顔で手を振るアンナと微笑むダニエルに見送られながら、エリーとウィリアムは列車に乗り込んだ。

ウィリアムが大きく欠伸をすると、エリーは首を傾げて見上げる。

「お疲れですか?」

「あぁ」

「風の都に着いたら起こしますよ」

「いい。起きてる」

再び大きな欠伸をしながら言うウィリアム。
寝るな、これは。

席に向かい合って座り、列車が動き出す。
楽しく過ごした火炎の都が遠ざかっていく景色を見て、エリーの胸に寂しさが募る。