サラとその父に別れを告げ、二人は再び街を歩き出した。

「本当はもっと色々案内するつもりだったんだけどなぁ」

「大丈夫ですよ。またこちらに来た時にでもお願いします」

「おう、任せろ」

そう言ってシェルはにかっと笑う。
エリーの泊まっている宿が見えてきた。

「明日帰っちまうんだもんなぁ。寂しいなぁ」

呟くように言うシェルに、エリーは頷いた。

「私も寂しいです。昨日も今日もとても楽しかったので、余計に」

そう言って少し困ったように笑う。
そんなエリーを見て、シェルは微笑んだ。

「エリー」

「はい?」

「手、出せ」

「はい……?」

不思議そうにしながら、エリーは素直に言われた通りにした。

すると、シェルはエリーの手の上に何かを乗せる。

それは、ガラスで出来た妖精の置物だった。

「わぁ……」

エリーが感嘆の声をあげた。
水色のような、橙色のような、心が浄化されるような綺麗なガラスの妖精だ。