「あっ」

エリーが思わず小さく声を上げる。
リヒトがサラの元へ飛んで行ったのだ。

そして元々そこで踊っていたかのように、サラの周りをぐるぐると回っている。
そんなリヒトの姿が見えているのかいないのか、サラは小さく微笑んで、リヒトの動きに合わせて踊り出した……ように見えた。

見えているのだろうか。

そんなことを思っていると、サラがリヒトを連れてこちらへやってくる。
すると、エリーの手を取り、サラは美しく微笑んだ。

「エリー、行ってきな」

アンナの言葉にきょとんとする。

「えっと……?」

「一緒に踊っておいで」

ダニエルの捕捉に、エリーは慌てた。

「え、いえ、でも、そんな」

困ってウィリアムの方を見る。ウィリアムは無言で頷いた。
行けということだろうか。

そんなことを考えていると、手を少しずつ引っ張られていく。
輪の中心まで引っ張られると、エリーはサラに誘導されながら、動きづらそうにしながら共に踊り始める。

サラが動きを合わせてくれている。
リヒトも周りでぐるぐると回っている。
なんだか楽しくなって、エリーはサラとリヒトと共に踊り続けた。