賑やかな街を歩いていく。
たくさんの音や色、匂いで溢れたその街を歩いているだけで心が弾む。
しばらく歩いていると、目的地にたどり着いたようだった。
「あそこ」
シェルがそう言って目線で示す。
そこには、たくさんの女の人が猩猩緋色の衣装を纏って輪になって踊っていた。
踊り子のための衣装なのだろう、腹部が大きく開いていて、動く度に腰や腕の布がひらひらと舞っている。
そしてその中に、サラの姿があった。
サラの踊る姿はとても美しかった。
他の踊り子と違って笑顔を見せていないところは、サラの美しさをより引き立てているように思える。
エリーはぼーっとして見とれてしまった。
「相変わらず綺麗に踊るわね」
「うん。とても綺麗だ」
アンナとダニエルが率直に感想を言う。
ウィリアムは無言で踊る女の人たちの方を見ている。
シェルは何かに操られているかのように、どこかに意識を飛ばしたような表情でサラをじっと見つめていた。