「それで、愛しのサラはどこにいるの?」
「い、いとしのって何だよ」
アンナの言葉にシェルが顔を赤くする。
そんなシェルにアンナは意地悪そうに笑った。
「何赤くなってんの? 私の愛しのサラの話よ?」
「なっ……そ、そうかよ」
シェルが悔しそうにアンナを睨み、がーっと頭を掻く。
「……あいつのとこまで、案内する」
「どちらにいらっしゃるんですか?」
「来ればわかる」
エリーの問いかけにシェルがむすっとしたように返す。
アンナにからかわれて、すっかり拗ねてしまっているようだ。
リヒトと似てるね、と目だけでリヒトに伝えてみる。
リヒトはまるで心外だ、とでも言うように腕を組んで顔を横に振った。
街並みは昨日よりも赤くなっているように見える。
街全体が燃えているかのように、あちこちで熱く燃えている炎が反射しているようだ。
「……大丈夫か」
ふと隣で声がして、エリーは見上げる。
ウィリアムが無表情でエリーを見下ろしている。
「大丈夫です」
心配してくれているのだ。
エリーは微笑んでそう返した。
「そうか」
「はい」
ウィリアムはそれだけ言って隣で歩き続ける。
エリーの頬は緩む一方だ。