外に出ると、先程窓を開けて聞いていた時とは比べ物にならないくらい、たくさんの音がエリーたちを包み込んだ。
太鼓を叩く音、人々の笑い声や話し声、どこかで演奏しているらしい音楽。

――これが、火炎の陣。

エリーの瞳は街の炎よりも輝いていた。

「さて、どこから見ていきましょうか」

「まずは何か食べる?」

「いいわね。エリー、どう?」

アンナとダニエルが話を進めていく。
エリーはそれについていくので精一杯だ。

「い、いいと思います!」

「ふふ、緊張してる?」

「あ、いえ、あの、はい……」

にこにこ笑うアンナに、エリーは苦笑しながら返す。

「どっちだよ」

急に聞こえた声は、当然聞き覚えがあった。
振り返った先には、茜色の髪と瞳。

「シェル」

「よっ」

「あんたここで何してんの? サボり?」

「ちっげぇよ! 店は他の奴らと交代してやってんの」

早速アンナと言い合いを始めるシェル。
仲が良いなぁとエリーはぼんやり思う。

そんなエリーとシェルの目が合った。

「……浴衣、いいじゃん」

そう言ってにひっと笑う。
エリーもつられてにひっと笑った。

「ありがとうございます」