「あ、そうだ。サラ。聞いた?」
「……?」
「この子、今ウィリアムと一緒に暮らしてるの。エリーよ」
「え、あ、どうも、エリーです」
突然言われ、エリーはあたふたしながら挨拶をした。
ぺこっとお辞儀をして、顔を上げる。
サラはふっと優しく微笑んだ。
「サラ・ホークアイ。よろしく」
「よ、よろしくお願いします」
思わずおどおどしてしまう。
美しさの前には誰もがこうなることだろう。
エリーはそんなことを思いながら、リヒトに共感を求めようと宙を見る。
しかしリヒトは思っていた場所にいなかった。
きょろきょろと探すと、サラの周りをぐるぐると回っているのを見つける。
見えないからといって、失礼だ。
エリーは呆れた視線を送る。
その時、サラが一瞬リヒトの姿を目で追った。
「え」
思わず声が出る。
サラとエリーの目が合う。
サラは悪戯っぽく微笑み、髪を靡かせながら後ろを向いた。
周りを見ると、他の皆も先を進んでいた。
「おーい、行くぞ。エリー」
シェルに呼ばれ、エリーは慌てて皆の背中を追いかけた。