爽やかな朝が来た。
エリーはぱちっと目を開け、枕元に眠るリヒトの姿を確認する。
光を放つリヒトは夜暗い中でも光り輝いている。
最初は眩しさで眠れなかったが、今となってはもう慣れてしまった。
そんなことを考えながら起き上がって服に手を掛ける。
普段着のワンピースに着替え、顔を洗いに洗面所へと向かう。
身だしなみを整えたら、次は朝食を作らなければ。食べるのはエリーだけだが。
普段は引きこもってるウィリアムも今日はゆっくりできる日だ。
昨日最新作の原稿を仕上げたところなのだ。
するとエリーは重要なことに気が付いた。
――ウィリアムさんの本を読んだことがない。
同居人失格なのではないか。
エリーは朝食を作りながら青ざめていた。
ウィリアムに聞いてみたら読ませてもらえるだろうか。
正直その可能性は低い気がする。
そうしたら今度ダニエルに聞いてみよう。
そして読んでみよう。ウィリアムの書いた本を。
そう心に決めて、エリーは朝食作りを続けた。
そうしているとリヒトがぼんやりとしながらふらふらとエリーの元へやってきて頭に乗った。