「今日は本当にありがとうございました」

大きくお辞儀をして、顔を上げる。
ダニエルは終始にこにこと笑っていた。

空はすっかり暗くなっている。

「僕も楽しかったよ。ありがとう」

そう言ってエリーの頭を優しく撫でる。
そしてエリーを覗きこむようにして首を傾げる。

「僕はこれからちょっと別の約束があるから送ってあげられないけど、大丈夫?」

「はい! 大丈夫です!」

今日はたくさんヴィルベルを見て回ったのだ。
もう迷子になる気がしない。
エリーは自信に満ち溢れていた。

「……大丈夫だ」

後ろから低い声がする。聞き覚えのある声だ。

「はは、保護者登場?」

「……うるさい」

ダニエルが楽しそうに笑い、隣に誰かが立つ気配がする。