「あそこから空を飛べるようになってるんだ」

そう言って指さした場所には、人が一人入れる大きさの透明な箱がいくつか並んでいた。
ガラス張りになっているのだろうか。

「あそこに、これを履いて入ると、外へ出られるんだ」

そう言って先程購入したお店の紙袋を見せる。
エリーは何が何だかわからずぽかんとそれを見る。ダニエルは苦笑した。

「とりあえずやってみようか」

そう言って紙袋から何かを取り出す。

「これを履いて」

それは、リヒトと似たような羽根が左右についている靴だった。
これを履いただけで空が飛べるのか。

エリーはダニエルから靴を受け取り、言われるがままに履いた。
そしてダニエルに言われ先程の箱の中に入る。ダニエルも隣の箱に入った。

「わわっ」

すると、靴についている羽根が光を放った。
リヒトが飛んでいる時に見える光と似ている、とエリーは思った。

この羽根はもしかして妖精の羽なのだろうか。
そうしていると、光が止み、ガラスのような箱の壁がすーっと消えていくのがわかった。