「この街にはね、風の都の象徴とも言える場所があるんだ」
「風の都の象徴?」
「うん。ほら、見えてきた」
そう言ってダニエルが指をさす。
その方向に目をやると、そこには大きな風車がたくさん建っている草原があった。
「わぁ……」
思わず口を閉じるのを忘れてしまうくらい、澄んだ空気に流されるがままに回り続ける風車はエリーの心を掴んだ。
「すごい、すごいです、ダニエルさん」
「ふふ、そうだね……でも」
ダニエルは意味深な笑みを浮かべた。
「これからもっとすごいものを見せてあげるよ」
「もっと、ですか?」
風車からダニエルに視線を移す。
一体何が待ち受けているのだろう。
エリーは胸の高鳴りが抑えられない。
「とりあえずあの一番高い風車に登ろう」
「はい!」
ダニエルに導かれるがままに風車の中に入り、上へと階段を上り続けた。
「すごい!」
最上階に到着し、外に出た。
風車の一番上は、外へ出られるようになっているようだ。
回る羽根の端が心地の良いリズムで見え隠れする。