「俺には妹がいた」
「はい」
「その妹の代わりというわけではないが……お前も、俺にとって」
そこで一旦言葉を止める。
何を言おうか考えているのか。
それとも、単純に言いにくいだけなのか。
「……家族同然の、かげがえのない存在になっていた」
だから、と言葉を続け、ウィリアムはエリーの目を見た。
深い闇のような瞳に、吸い込まれそうになってしまう。
「できることなら、ずっと傍にいて欲しい」
そしてどこか切なそうに、不器用な笑みを浮かべる。
「どこにも、行って欲しくない」
その言葉に、エリーの心臓がドクドクと大きく鳴りだす。
どこかぎゅっと苦しくなるような、でも不快じゃないような。
ウィリアムの本心が聞けて、本当によかった。
脳裏のどこかで、キラキラな笑顔を浮かべるリヒトの姿が見える。
エリーもまた、切なそうに微笑んだ。