「お前が何をそんなに落ち込んでるのか知らねぇけど、それは落ち込んで解決できることなのか?」

「……」

エリーは目を伏せる。
もう何をしたって、リヒトは帰って来ない。

「ここに来て見てきた景色に、お前を救う力はないのか?」

「……」

エリーは眉を下げてシェルを見る。
シェルは真っ直ぐにエリーを見つめていた。

「大丈夫だ」

シェルは力強く言った。
きっと何の根拠もないのだろう。

しかし、その言葉はエリーの胸にじんわりとした温かさをもたらしてくれる。

シェルはにかっと笑って、そしてエリーの手を強く握った。

「行くぞ」

「え?」

そのまま窓の外へ飛び出してしまいそうな勢いに、エリーは慌てて止める。