エリーはウィリアムに具合が悪いと告げ、部屋に閉じこもっていた。
リヒトがいなくなってからもう数日が経とうとしていた。
エリーにとって、リヒトは大切だった。
知らない土地にやってきて、道に迷って、それからずっと傍にいてくれていた。
部屋に閉じこもりながら、エリーは度々堪えきれないかのように涙を流した。
そんなエリーの様子が、ウィリアムやアンナたちに心配を掛けてしまっていることはわかっていた。
しかしどうしようもなかった。
――もう自分には、何もない。
コツン、と音がした。
エリーは顔を上げ、窓の方へ寄る。
もしかして――希望を抱きながら、エリーは窓を開けた。
「よっ」
窓を開けた瞬間、飛び乗ってきたのはシェルだった。
身を固くしたエリーに、シェルは苦笑した。
「そんな絶望した顔されると傷付くんだけど」
「……ごめんなさい」
目を逸らして言う。
シェルは窓枠に座り込み、そしてエリーの手を取った。
「エリー」
「……はい」
シェルは真剣な顔でエリーを見ている。