エリーは駅に来ていた。
これから、街を案内してくれるという人と会う予定なのだ。
アンナと別れ、家に帰った後、エリーはウィリアムに案内人のことを話した。
いつにも増して険しい顔をしていたような気がするが、ウィリアムは好きにしろと言ってくれた。
エリーの輝く瞳の力には勝てなかったのだろう。
そして今日、家を出る時にも珍しくウィリアムの方からエリーに声を掛けた。
“……その格好で行くのか”
“はい! どこか変でしょうか……?”
“……いや、変じゃない。気を付けて行って来い”
アンナとの買い物で購入した白と水色のワンピースだったのだが、ウィリアムは気に入らなかったのだろうか。
しかしアンナとリヒトには好評だった、とエリーは自分に言い聞かせる。
内容はともかく、徐々にウィリアムとの会話が自然になっていっていることは嬉しい。
エリーはなんとなく空を眺めた。
いつもなら視界でちらちら見える光る少年、リヒトは今日はお留守番だ。