エリーはぼーっとしていた。
何も考えることができない。

ただ、自分の上に掛かっている毛布の端を見つめるだけだ。

リヒトの姿も見当たらない。
皆はもう帰ってしまったのだろうか。
今はあまり一人になりたくない。けれど、しばらくは一人にして欲しい。

複雑な想いがエリーの胸に宿る。


扉をノックする音がして、エリーはハッと顔を上げる。

「……俺だ」

「ウィリ、アム……さん……」

どこか掠れた自分の声に、既視感。

聞こえてきたウィリアムの声に、エリーは今すぐ駆け出して縋りつきたい気持ちになる。
しかし、今はウィリアムの顔を見るのが辛かった。

「入るぞ」

「あ……」

扉が開けられ、ウィリアムがいつも通りの無表情で入ってくる。
エリーは酷く情けない顔をしているような気がして、ウィリアムから顔を背けた。