風の都の祭りのため当然だろうが、屋台をやっている人のほとんどがいつも顔を合わせている人だった。
エリーは律儀に全て回ろうとして、ウィリアムに止められる。

「全部食べるつもりか」

「……へへ」

照れたように笑うエリーの手には、既に大量の食べ物。
見かねたように、リートとシェルがエリーに近付く。
まるで待っていたかのような対応だ。

「しょうがねぇなぁ。おれが食ってやるよ」

「私も食べよう」

「ふふ、ありがとうございます」

お礼を言うエリーの頭上には、既に菓子類を食べ続けているリヒトの姿。
最初は珍しそうに皆に見られていたリヒトも、もう既に仲間の一人として受け入れられている。