爽やかな朝がやってきた。
窓を開けて、澄んだ空気を思い切り吸い込む。

賑やかな街の音が、エリーの鼓動に伝ってくる。

風の都の祭りの日。
空の散歩が、始まった。


「リヒト、楽しみだね」

にっこり笑って、ベッドで眠そうに寝ころぶリヒトに声を掛ける。
リヒトは目を閉じながらも頷いた。

もうすぐフローライト家には、たくさんの人がやってくる予定だ。
アンナやダニエル、サラとシェル、リートとシャール。

アンナがまた専用の洋服を持ってくることになっている。
エリーはそれも楽しみにしながら、皆をもてなすため紅茶の用意を始めた。
好みの紅茶はあるだろうか。


「エリー、来たわよ」

アンナが楽しそうに言う後ろに、皆の姿があった。
エリーもまた嬉しそうな表情で「上がってください」と微笑む。

「お邪魔しまーす」

「失礼する」

それぞれで挨拶をしながら、リビングへと向かっていく。
リビングに荷物を置いたところで、アンナがエリーを振り返った。