空の散歩まであともう少し。
その日エリーは、招待状を配達することになっていた。
数日かけて、火炎の都、大地の都、そして水の都を巡っていく。
招待状の準備も万全だ。
これが招待状なのかと聞かれると少し疑問もあるが、エリーは大丈夫だ、と自分に言い聞かせる。
リヒトと共に作った招待状。
それはとても素敵なものに仕上がっている。大丈夫だ。
そう思いながら、エリーは髪を高い位置で一つに結う。
薄い桜色のワンピースを着て、そして荷物を手にした。
「ウィリアムさん、そろそろ行きますね」
「……一人で、大丈夫か」
「大丈夫です」
心配そうな顔をするウィリアム。なかなか珍しい表情だ。
エリーは嬉しそうに笑って、もう一度「大丈夫です」と伝える。
ウィリアムは納得していないような顔だが、ゆっくりと頷く。
「……気を付けて」
「はいっ」
ウィリアムの言葉に頷き、そしてエリーはリヒトと共に出ていく。
まず最初にエリーが目指す場所。それは、火炎の都だ。