鏡の中の自分に向かって頷き、エリーは立ち上がる。
そして窓の外を確認して、エリーは楽しそうにベッドに座った。
リヒトはそんなエリーの姿を頬杖をつきながら見ている。
今日エリーは、デートだ。
数日前。
エリーが街を歩いていると、共に働いたことのあるテオと偶然会った。
驚いた後に嬉しそうな顔をするテオ。
少し話をしていたら、テオは何か言いたげにエリーを見た。
少し落ち着かないような挙動をして、そして真っ直ぐにエリーを見つめた。
「あのさ、今度、デートしない?」
驚いた表情をしつつ、エリーは了承した。
前までずっと姉ちゃん姉ちゃんと懐いていたテオも、そんな言葉を言うようになったのだ。
エリーはどこか弟の成長を見守るような気分で、楽しみにしている。
しかしデートはデートだ。
エリーは少し緊張したように、ベッドに座って来客を待った。
呼び鈴が鳴り、エリーはスッと立ち上がる。
リヒトも置いて行かれないように、と慌ててエリーのワンピースのポケットに身を預けた。
相変わらず部屋に閉じこもるウィリアムに声を掛け、エリーは玄関へ向かった。