そのお店はアンナが着るようなシンプルな服でなく、女の子らしいワンピースやスカートの置いてある店だった。

「こういうのって見てる分には楽しいんだけど、私が着ると似合わなくて」

アンナが楽しそうに言いながら次々と服をエリーに当てていく。
その勢いに押されながら、エリーもわくわくした表情で店内を見回す。

リヒトはアンナや他の女性客の勢いが恐かったのか、必死にエリーの髪にしがみついている。少し痛い。

「これとか似合うわよ。あぁ可愛いもうほんと可愛い」

先程からアンナが勧めてくる服はどれもワンピースのようだ。
エリーも楽しくなってきて試着を始める。

試着室から慌てて出てきたリヒトは顔を赤くしてお店の外の看板に腰掛けた。
そして盛大にため息をついて、空を見上げた。

店を出る頃には、空は暗くなっていることだろう。