「……あ、あの、それは」
「大丈夫だよ。奪おうなんて思ってない。僕は彼女が幸せならそれでいいんだ」
そして切なそうに微笑む。
「昔もそう思っていたはずなんだけどね」
心配そうにエリーはダニエルを見ている。
「だけど、想いを伝えたことは後悔してないよ。言葉にしないと伝わらないってこと、僕たち三人はその時やっと気付けたんじゃないかな」
「そう、ですか」
ダニエルの表情に、エリーも切ない表情をする。
「いまだに言葉足らずな幼馴染だけど、よろしくね」
「はい……?」
「ウィルのこと」
「あ、はい! もちろんです!」
エリーが焦ったように言い、ダニエルは笑った。
「アンナのことも、よろしくね」
「はい……」
「明日、きっとアンナとちゃんと話ができると思うから。もう少し待っていて」
「明日何かあるんですか?」
エリーの質問に、ダニエルは頷いて悲しそうに笑った。
少しずつ飲んでいたカフェオレの湯気は、随分と薄くなってしまっていた。