「あっ」

「ん?」

「……ダニエルさんって、まだアンナさんのこと好きなんですか?」

ん?と返した時の笑顔のまま、ダニエルは固まった。
質問をしたエリーは心なしか瞳を輝かせている。リヒトは興味がなさそうな顔だ。


「……それは、どこからの情報なのかな?」

「え……あ……」

ダニエルの返答に、エリーは聞いてはならないことを聞いてしまったと思った。
目を泳がすエリーを見て、ダニエルはため息をついた。

「……アンナでしょ。話したの」

「……はい」

「やっぱり」

そう言って大きくため息をつく。
そしてにっこり笑ってエリーを見た。

「それはアンナが既婚者だと知っての質問でいいのかな?」

ダニエルの言葉に、エリーは顔を青くする。
きっと気を悪くさせてしまった。エリーはしゅん、と小さくなる。

「ごめんなさい」

「別に責めてるわけじゃないよ。女の子だもんね。そういうの興味あるよね」

ダニエルがそう言いながら、カフェオレを飲む。
そして柔らかく微笑んで、エリーを見つめた。



「好きだよ」

そのはっきりとした言葉に、エリーは一瞬呼吸を止める。リヒトも驚いたような顔だ。