エリーはダニエルの図書館に来ていた。
カウンターを挟み、二人で椅子に座っている。
もちろん、リヒトも一緒だ。
濡羽色の髪をした少女が、コトン、とカップを二人の前に出す。カフェオレだ。
「どうぞ」
少女に向かって、エリーはにっこりと笑う。
「ありがとうございます」
「ありがとう、ミサトちゃん」
同じように礼を言うダニエルに、少女はわずかに微笑みながら会釈をした。
「いえ。私、配架してきますね」
「うん。お願いします」
ダニエルの言葉に、少女は図書館の奥へ向かう。
その後ろ姿を見送り、エリーはカフェオレを一口飲んだ。
「図書館って、こうしてカフェオレ飲んだりお話したりしても大丈夫なんですか?」
「よくはないよね」
にっこりと言うダニエルに、エリーは苦笑する。
他に利用者がいないのが幸いだ。