「何が、ですか?」

「落ち着いていないように見える」

「……水着を着るのは、慣れていないものですから」

「そうか」

そう言って二人で黙る。
少しして、ウィリアムは小さくため息をついた。


「……落ち着いていないのは俺の方かもな」

「はい?」

「プール、入るか?」

「……あの、足元だけでもいいですか?」

「構わないが、いいのか?」

「はい。私、泳ぐの苦手なんです」

そう言ってエリーは照れたように笑う。
その言葉を聞いて、ウィリアムは驚いたようにエリーを見つめる。

「どうかされました?」

「いや……泳ぐのが苦手というのは、わかるんだな」

「え……あ、本当ですね」

エリーもまた改めて驚く。
二人して驚いたようにお互いを見つめる。

ウィリアムはふっと表情を緩めた。

「……じゃあ、何か食べながら話でもするか」

「はい!」

表情を明るくさせてエリーは返事をする。
何かを食べながらというところに反応したのか、リヒトも何度も大きく頷いている。