「ありがとう」

「はい?」

突然礼を言われ、エリーは戸惑う。

「話ができてよかった。……俺も、エリカのことを受け止められていなかったのかも知れない」

そう言ってウィリアムは眉を下げて笑った。
エリーは思わずウィリアムの手に、自身の手を重ねる。

「……ウィリアムさん」

「なんだ」

エリーとウィリアムの目が合う。

エリーは少し言いづらそうに、口をゆっくりと開く。


「……私の名前、呼んでくれませんか」

エリーの言葉に、ウィリアムは驚いたような顔をする。

そしてむず痒そうな顔をして、エリーを真っ直ぐに見つめる。


「エリー」

その低い声が、エリーの心に響いた。
首から下げた指輪に手を添え、エリーは嬉しそうに微笑んだ。

「はいっ」