すると、突然視界が真っ暗になった。

「だーれだっ」

聞き覚えのある声がして、視界が復活する。
隣に座って来たのは、シェルだ。

「……シェル」

「誰だ、はこっちの台詞だけどな。こんな時間にこんな場所で何やってんだよ」

シェルと目が合うと、エリーは顔を歪ませた。

目に涙が溜まる。

そんなエリーを見て、シェルは慌てたように目を白黒させる。

「お、おい。どうしたんだよ」

「……誰、なんでしょう。私」

「は?」

「本当に、誰なんでしょうね。私は」

「エリーだろ?」

「エリーって、誰ですか」

エリーの言葉に、シェルは困惑したように首を傾げた。

「何言ってんだよ。エリーはお前だろ」

「……シェル」

「なんだ?」

エリーは抱えていた想いを吐き出すように、少しずつ、声を出した。

「……ウィリアムさんには、妹がいるんですか?」

「妹?」

シェルは少し考えるようにして、そして思い出したように頷いた。