「……ちょっと、泉に行こうかな。どう? リヒト」
外はもうすっかり暗くなっている。
普段なら、このような時間に外へ出ることはない。
だから窓を開けたというのもあるだろう。
玄関から出ていけば、ウィリアムに知られてしまう。
リヒトは困ったような顔でエリーを見ている。
窓の縁に足を掛ける。
リヒトは焦ったような顔をして、そして窓の外へ出た。
エリーは息を吸って、そして窓から飛び降りる。
同時にリヒトも力を入れるようにしてぎゅっとエリーに掴まる。
すると、リヒトの光がエリーの身体を包み込むように広がった。
エリーは、ふわりと地面に着地した。
「……リヒト、こんなこともできるの?」
驚いたように言うエリーに、リヒトは疲れたような笑みで頷いた。
そしてもう飛んでいられないとでもいうように、エリーの頭に身を預けた。
「……ごめんね」
エリーは泉へと向かった。