エリーはアンナとお茶をしていた。
先程まで、二人で買い物をしていたのだ。
目の前にはケーキとカフェオレ。
リヒトはエリーのケーキをご機嫌で頬張っている。
ちなみに、リザのお店ではない。
「あら、それでこの指輪をもらったの?」
「はい」
「やるわねぇ、お兄ちゃん」
アンナは豪快に笑って、そして指輪を手に持ちじっくりと眺める。
ウィリアムにもらった指輪を、アンナに見せているのだ。
「これ……」
「宝石、ですか? 私の瞳の色と、同じみたいなんです」
嬉しそうに微笑んで言うエリー。
アンナは驚いたように蜂蜜色の宝石を凝視する。
「ウィルも気の利く男になったのねぇ」
楽しそうに言って、アンナは微笑む。
「エリーは水色が好きなのにね」
「はい?」
「ううん。これって、なんでネックレスにしてるの? 指輪じゃダメなの?」
「私にもよくわからないんですが……」
エリーは不安そうに瞳を揺らしながら、アンナの手にある指輪を見つめる。
「……指輪じゃなくてよかったような気がするんです」
「へぇー……?」
よくわかっていないような顔でアンナが返す。
エリーが目を伏せると、リヒトはアンナの持っている指輪に向かって突進した。
「あっ」
アンナが思わず声を上げる。
指輪がぽろっとテーブルの上に転がり落ちたのだ。