「……お疲れ様」
「お疲れ様でした」
営業時間が終わり、エリーとリザ、そしてテオを残してスタッフが帰って行った。
店内に三人でテーブルに座る。
リヒトはテーブルの上で寝ころんでいる。
行儀が悪いのは、この際仕方ないだろう。リヒトも随分と手伝ってくれていた。
「……これ、食べていいわよ」
そう言ってリザがエリーの前に置いたのは、ふわふわのシフォンケーキと紅茶。
驚くエリーに、すぐさま目を輝かせるリヒト。
「ありがとうございます」
「おれが作ったんだからな」
「ふふ、ありがとうございます」
得意気に言うテオの頬は微かに赤く染まっている。
エリーの笑顔に、テオははにかむ。
リザは二人に改めて真剣な顔を向ける。
「……今日手伝ってもらえて、助かったわ。どうもありがとう」
「たいしたことはしてませんよ。とても楽しかったですし」
「そうだよ。だから、そんな真面目な顔すんな。らしくねぇ」
にっこり言うエリーに、相変わらずのテオ。リザも頬を緩ませた。
「でも助けてもらったのは事実よ。ぜひ、召し上がって」
「ふふ、ありがとうございます。……リザさんもテオさんも、一緒に食べましょう?」
「……そうね。食べるわ」
「おれも」
立ち上がろうとするテオを制し、リザはは自分の分とテオの分のケーキを用意する。
幼い見た目だが、手慣れたようにキッチンに立っている。
さすがオーナーだと、エリーはしみじみ思う。