大地の都に到着すると、自然の香りで胸がいっぱいになった。

見渡す限りの木々。大地の都レームは、森の中だった。
森に囲まれた都は、風や火炎の都と比べると小さいような気がした。

しかしその優しい雰囲気に、エリーは興奮したように目を輝かせる。
その頭上に乗るリヒトもまた、同じ表情をしている。

そんなエリーを見たアンナが豪快に笑った。

「エリー、嬉しそうね」

「まったく、ガキだなぁ」

そんなことを言うのはシェルだ。
それに対してにっこりと口を開くダニエル。

「そういうシェルも、いつも大地に都に着くとそわそわするよね」

「そ、そんなことねぇし!」

むきになるシェル。その光景を無言で眺めているのはサラ。
そして、ウィリアムもまた、一緒に来ている。大集合だ。

「ウィリアムさん、楽しみですね」

「ああ。そうだな」

いつもよりテンポよく返ってくる言葉。
エリーは不思議そうにウィリアムを見つめた。

そんなエリーに気が付き、ウィリアムは目を細める。

「どうした?」

「い、いえ。なんでもないです」

ウィリアムの様子がどこかおかしい。
しかしきっと気のせいだと思い、エリーは皆と共に森の中を歩き出した。