「エリーは今日、私を手伝ってくれたんだ」
「そうなんですね。ありがとうございます」
「いえ、そんな、たいしたことはしてません」
「たいしたことですよ。姉さまは気が遠くなる程の方向音痴ですから」
「そこまでじゃないだろう」
「そこまでですよ、姉さま」
二人のやりとりに思わず笑みが零れる。
それに気付いて、二人は照れたように顔を見合わせた。
「それでは、そろそろ失礼します」
「世話になったな」
二人の言葉にエリーはにっこりと笑った。
ちなみにリヒトはまだ意識をどこかへ飛ばしている。
「またいらしてくださいね」
「ああ、もちろんだ。祭りもよかったら来てくれ」
「はい、もちろんです!」
挨拶を交わし、エリーは二人の姿を見送る。
後ろ姿に見とれていると、「あっ」とエリーは声を出した。
不思議と全く気付いていなかったが、二人の関節部分は球体になっていたのだ。