「そんなに言いにくい場所なんですか?」
「いあ、そんなことねーよ。明日、実は、その、夜、流星群があるらしいんだ」
「わぁ……! 流星群!」
「おう。お前んとこからも見えると思うぞ」
「ふふ、見てみます」
夜になったらリヒトと空を眺めていようと思うエリー。
「だから、その、それを見て、オレの新作を、その、贈ろうかな、って」
「新作、ですか?」
「星をモチーフにした、ガラスのペンダントを、作ったんだ」
「準備万全ですね」
「ぐ、偶然だからな。別に、前々から明日のために用意したとか、そのために、頑張って誘ったとか、そんなんじゃねぇからな」
「前々からサラさんと一緒に流星群を見るために頑張っていたんですね」
「……ちげぇって」
簡潔にまとめるエリーの言葉にシェルは顔を赤くして否定する。
「後は、服装ですか?」
「あ、あぁ」
「いつも通りだと特別感ないですもんね。あ、今から買いに行きますか?」
「え、あ、あぁ……かまわねぇけど」
「じゃあそうしましょう!」
そう言ってエリーは勢いよく立ち上がる。
その時、頭にピリッと痛みが走った。
思わず目を閉じたエリーの頭に浮かんだのは、見知らぬ美術館。
楽しそうに絵を見る自分と、隣に誰か。顔はぼやけていてよく見えない。
その誰かが、温かい手で自分の頭を撫でた。