そうして街を歩いていると、少女はだんだん眠くなるのを感じた。瞼が重い。
しかし今いる場所は街で、周りには座れそうな所も寝れそうな所もない。
少女は眠気と戦いながら歩き続ける。
しばらく歩いていると、ようやく少女は一つの変化に辿り着いた。
まだ少し遠いが、前方に人影が見える。
もやもやしていて姿はよく認識できないが、人であることに間違いはないだろう。
真っ黒な姿をしているのはどこか気になるが、少女はそんなことを気にする余裕がなくなっていた。
今にも寝そうなのだ。
だんだんとその人影に近付いていく。
どうやらこちらに気付いていないようで、後ろ姿しか見えない。
しかしやはりその人影は真っ黒な服を着ていて、美しい街並みに合っていないような気がする。
その人に話しかけたら、全ては終わる気がした。
少女は眠そうな蜂蜜色の瞳で、その人影をじっと見ながら歩いていく。
あと少し。
近くまでやってくると、その人影はゆっくりとこちらを向いた。