どれほどの時間が経っているのだろう。
エリーはただただ歩いていた。

そもそもどうしてこんな所にいるのだろう。
エリーは何をしにここまで来たのだろう。

ぼーっと知らない街を歩きながら、そんなことを考えていく。


「……あれ」

力のない声を出す。
エリーは先程よりも不思議そうに辺りを見ながら街を歩いていた。
ここは一体どこなのだろう。そして。


――自分は一体、誰なのだろう。


亜麻色の髪をした少女はまるで今初めて自分の存在に気が付いたように、自分の手を見つめる。
服を見つめる。街を見つめる。

まるで夢の中にいるような感覚。
足はしっかり地面についているのに、どこかふわふわと浮いているような感覚。

不思議そうに何度か足を止めるが、それでも少女は街を歩き続ける。
歩かずにはいられないような気さえした。