買い物を済ませ、エリーは家で辛い料理を作っていた。
本日の夕食は辛い物パラダイスだ。

エリー自身は辛いものが苦手なため、ウィリアムの分だけ辛くしていく。
味見をしてみようとしても、辛いため美味しいのかわからない。

きっと大丈夫、と自分に言い聞かせてエリーは料理を作っていく。
ウィリアムの分だけ、どの料理も赤く染まっていった。


階段を下りる音が聞こえ、エリーは振り返った。ウィリアムだ。
今まで部屋に引きこもっていたのだろう。

その姿を見つけると、エリーは輝くような笑顔でウィリアムを出迎えた。
ウィリアムはどことなくエリーの勢いに圧倒されているようだ。

「……帰っていたのか」

「はい!」

料理の並んでいる前にウィリアムを座らせ、エリーも席についた。

「今日はウィリアムさんの好きなものをたくさん作ってみたんです」

「好きなもの?」

「はい!」

得意気に言うエリーにウィリアムはわずかに眉を顰める。

「……好きなものって、なんだ」

「辛いもの、です!」

その瞬間、ウィリアムの動きは止まった。
エリーは不思議そうにその様子を見つめる。