「ダニエルさん」

「あ、エリーちゃん。おかえり」

「あの、ダニエルさん」

「ん?」

ダニエルが優しい表情でエリーを見る。
エリーは申し訳なさそうな顔で本を差し出した。

「本、落ちていました」

「おぉ、ありがとう」

そう言って受け取るダニエル。
そんなダニエルは、やはり全てを見透かしているような顔だ。

「やっぱり私、ウィリアムさんにお願いしてみようと思います」

エリーの言葉にダニエルは更に目を細めた。

「エリーちゃんなら、そう言うと思ってた」

「え?」

「ちょっと待っててね」

そう言ってダニエルはカウンターから離れ、しばらくしてカップを手に持ちながら帰ってくる。

「カフェオレでも飲んで、少し作戦会議でもしようか」

「あ、ありがとうございます」

そう言ってエリーは椅子に座り、カフェオレを一口飲む。温かくて甘いカフェオレだ。