「……俺は、思ったんだ。きっと、誰も傷つかない様にするには、関わらないのが一番なんだって」

 そう、確信に近いものがあった。必要以上に口を開かなくなった。阪南は無言で、顔色一つ変えずにただ、俺の話を聞いていた。

「でも、お前と出会えて本当に良かったと思う」

「お前や皆のおかげで、俺は気づけたと思うんだ。想いを伝えなければ、何も変わらない。きっとそうだったんだ」

 俺は心強く、阪南に訴えかけた。自分一人で気負う必要なんてない。誰かがいたら、きっと大丈夫なんだと。

「昌弘……」

 やっと阪南は、俺の名前を呼んでくれた。彼女の目には大粒の涙が今にも溢れそうになっていた。

 すると、ドアが開く。ドアを開けてきたのは阪南の母だった。

「神子……皆がやってきたわよ」

 そう言って御崎さん、田月、神無月、秋が阪南の母の後ろから、出てきた。

「……皆、どうして」

「昌弘くんと一緒に来たの。私たち、神子ちゃんの気持ちに気づいてあげられなかったの、後悔してる」

「阪南さん、大丈夫です。僕たちは友達なのだから、本当の想いをぶつけても、良いんです……そして、ありがとうございました」

「神子先輩、俺……まだ向き合えてるか、わからないんですが……それでもちゃんと神子先輩に感謝と謝罪をしに来ました」

「阪南、あんた無茶しすぎだよ。……でも、その無茶ぶりが今こうなっているんだから、ちょっとおかしな話だよね」

「皆っ、……みんなっ……ッ」

 そうして、阪南はドッと溢れる様に泣き出した。ただ、一つ言える事は。

 阪南、お前は一人じゃないんだ。ということだ。