「ごめん、途中から聞こえてなくて……」

「別にいいんですよ……ここまで反応大きくしてしまった私も悪かったです」

 御崎さんが心配して大声を出した事で現実に引き戻された。もし、彼女の声が聞こえていなかったら、まず俺は阪南の元へ向かう様な勢いだったのかもしれなかった。

「いや、御崎さんは悪くない。……むしろ言ってくれてありがたかった」

「そうですか?」

 そうだと、即答する。御崎さんが言ってくれた事が、阪南と向き合う事を決断するきっかけになったのだから。

 けれど、彼女の家を知らない。今ある中で頼れる人物に会わなければならない。

「それじゃ、行こう。授業が始まるから」

「……ですね」

 御崎さんは微笑んで同意した。