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 一体なにを言いたかったんだ。僕は、頭を悩ませる。

 最近、夢が僕に対してだけ反応がおかしかった。そのために、神無月に聞いたら「秋なら知ってると思う」と答えたから彼に聞いたのに、ニヤニヤとされて帰られてしまった。

「僕だけがわからないのか……」

 ぶつくさ独り言を呟く。そうだ、夢のクラスに行けば彼女に会えるかもしれない。一応、行ってみよう。


 夢の教室の前まで行くが、教室はもぬけの殻で電気は一つも点いてなかった。

「そうだよな……」

 まあ、放課後に残っている生徒なんて数少ないので、仕方のないことだと思って諦める。今日はもう家に帰ろうと思った所だった。

「あ、田月くんやっほう」

 ゆいが声を掛けてきた。そういえば、ゆいは夢と仲が良かった。たまに彼女から夢の話題が出る事もあった日があったので、相当仲が良いんだと思う。

「ああ、ゆい。そういえば、御崎くんは?」

「夢ちゃん? ……ああ」

 納得したような表情をされる。何故、その顔になるんだ。

「夢ちゃんはもう帰っちゃったよ」

「……そうですか」

 やはりか。なんとなくわかっていたのだが、つい聞いてしまった。最近、夢の動向が気になり過ぎて仕方なかった。自分でも変なのはわかっているのだが、気にしないようにする事ができなくなってきている。

「……ちなみに私は忘れ物取りにきたの」

 ゆいは笑顔で鍵を見せる。そして、教室のドアの鍵を開けた。