*
「んでな、その選手がうまくシュートを決めて……!」
僕は放課後、教室に残って友達と色々な話をしていた。友人の彼と僕は趣味が共通している。それがきっかけで友達になった。
「すごいな! 僕もそんな選手になってみたいって!」
「だろ⁉ やっぱりスポーツは面白いよな‼」
僕は友達の意見に同意をする。こんなにもスポーツは面白いのだから、もっと認知されても良い。
「……あ、僕もう帰るよ」
「秋、もう帰るんだな。んじゃまたな!」
僕はそう言って荷物を持って教室を出る。今日は、早めに帰ろうと思っていたから彼には悪かったが、先に帰った。
8月の初め頃に遊園地に6人で行く。といっても、同年代は僕だけで後は全員1学年上の先輩である。正直、肩身が狭いが神子先輩がいる事で少しは安心できる。ちなみに、友人に言うと嫉妬されるので、この事は話していない。
「……若木くん、今いいですか?」
「はい?」
声を掛けられる。その声の正体は田月先輩だった。少し、無骨な表情だった。
「どうしたんですか?」
「御崎くん、の事なのですが」
……なるほど、彼女の事か。御崎先輩に関しては、神子先輩から聞かされていたので知っている。少しおとなしめな性格で……田月先輩の事が気になっているという事らしい。
「彼女、毎日の様に何か見せてきたリ、アピールしてきたり……何故か、変なんですよ」
それは、アプローチだと内心で思いつつも、率直に言ってしまっては困惑させてしまうかもしれないので、少し気づかせようと話を進める。
「……そうなんですか。所でどんなアピールをしてきたんですか?」
「何か成功したり、テストの点が良かったりした時にアピールを……」
「なるほど」
彼女なりのアプローチは、田月先輩には伝わっていないという事か。
「それなら先輩、大丈夫ですよ。彼女、全然変じゃないです」
「? どういうことですか?」
「その内わかると思うので、では」
そう言って、廊下をまた歩き始めた。御崎先輩のアプローチがいつか芽生える様に願っておこう。