視線を前に戻すと、そこはいつも帰り道では使わない商店街の入り口の前であった。昼なので、外には買い物に来た主婦の人がほとんどであった。

 だが、商店街の周りはあまり詳しくないので、商店街経由の道で家に帰るしかなかった。かなり歩くが、仕方ないので商店街の通りを歩いて行った。

 ここの商店街は俺の家からも、学校からもそう遠くない場所にある。商店街の周りは住宅街が広がっているため、地元の人はよく利用する商店街なのだ。

 俺はここに来るのは久しぶりで、確か一年ぐらい前に行ったきりだったと思う。その時、何をしていたのかは覚えてはいない。

 今日は阪南絡みで良いことは無かった。阪南が相手の女子を追いかける光景を目撃した後に、同じクラスになり、且つ隣の席になり、更には一緒に帰りましょうと宣言してきたのだ。

 これはまずい状況になってしまったと感じる。一体これからどうなってしまうのだろうか。

 俺はそんな事を考えながら歩いた。そういえば、今どの辺りを歩いているのかを見ていなかった。考えに集中しすぎて危険な事をしていたと自らを恥じる。

 一旦、近くに見えた店の端に寄って立ち止まる。近くには見覚えのある喫茶店や和菓子屋、文房具やなどがあった。そういえば、一年前はこの喫茶店に入った事もあったような気がした。

 だが、寄り道する意味も無いので、今日は真っすぐと家に帰るようにした。そういえば、今日は金曜日だった筈なので、月曜日まで学校は無かった事を思い出す。少なくとも今日からはしばらくゆっくりとできる。

 そんな事を考えながら、帰り道を歩いて行った。あの後は、特に何も起こらず、家に帰った。ちなみに、家は一般的な二階建ての一軒家だ。

 家に帰ると母から今日は遅いと心配をされた。いつもなら何故そんな事で心配を……と顔で示すが、今日はそんな気力も無かった。そのせいで余計に怪しまれてしまった。

 俺は、母に部屋で寝てくると伝えて部屋に入っていく。

 始業式の日は金曜日であったため、月曜日までゆっくり出来たのだが、如何せん今日の出来事は、疲れが非常に溜まる事ばかりであったので、土日にやった事と言えば部屋でぐっすりと眠ってしまったぐらいであった。